ものこと双発協議会 趣意書

 

 デジタル情報化技術(ICT)の普及により一般市場のサービス産業化は目に見えて進んできました。消費の傾向も,例えばSaaS・PaaS・スマートフォンの台頭に象徴されるように,製品それ自体よりも「製品の利用に付随する付加価値(ベネフィット)」を享受することに重きが置かれていると捉えることができます。こうしたなかで,消費者のニーズは多様化し,物質的な満足から体験的経験的な充足感までもが需要の根源となってきました。現在では,製品単体の売り込みだけでなく,あるいはそれよりも,サービス,事業運営などを一体としたビジネスモデルの提案力が問われていると言えます。特に,国内市場だけでなく,新興国市場をはじめとするグローバル市場への展開においては,個別製品を巡る価格競争が厳しさを増す中で,総合的な事業提案,サービス提案を行い,消費者の需要を喚起する,あるいは消費者のニーズに応えるという方向性を追求することが緊要な課題です。その中では,製品は総合的な提案の一要素として位置づけられます。新しいサービスを届けるには新しい製品(モノ)が必要となり,また新しい製品(モノ)には新しいサービスが必要となるという基本視点の下では,多様化する消費者のニーズに,モノまたはサービスそれ単体の事業モデルでは応えられなくなってきているのです。

 こうした背景のもと,今般,製品単体の価値生産からサービスを織り込んだ総合的な価値生産への転換,あるいはサービスを考慮した製品価値の生産について,「ものこと双発」を提唱し,広く産官学に亘る実務家や多種多様な学識経験者が領域を超えて広く交流するとともに,これを日本の産業界に適応可能な実学として推進するために「ものこと双発協議会」を設立いたします。

 今後は,併設する「ものこと双発学会」で得られた研究成果や人材を産業界に提案して,“ものづくり”・“品質づくり”・“ビジネス(ストーリー・戦略・企画)づくり”のさまざまな局面を変革していくとともに,更なる「”もの”と”こと”の協働を」力強く実現するために活動していきます。

2014年4月1日
設立世話人会・賛同者一同